菊花茶が気になったので少し調べてみた事

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菊花茶が気になったので少し調べてみた事

菊花茶は抗炎症作用があるため、咳や眼性疾患、イラつきやめまいなどに良いとされています。 菊花に含まれる何が良いのかや、どのくらい飲めば効果が望めるかなど少し気になったので少し調べたことを備忘録としておきます。

日本食品標準成分表には菊花茶(菊花)の詳細な栄養成分値が収録されていません。 日本食品標準成分表(八訂)には「食用菊」としてのデータはありますが、これは生の食用菊(主に食用として栽培される品種)であり、菊花茶に使用される薬用菊(主に茶用として乾燥させる品種)とは異なります。

主要フラボノイド成分

菊花に含まれる主なフラボノイド成分は以下の通り

  • ルテオリン:菊花の主要フラボノイドの一つ
  • アピゲニン:黄色い色素の主成分
  • クエルセチン:広く植物界に分布する強力な抗酸化物質
  • カンフェロール:抗炎症作用を持つフラボノール
  • クリサンテミン:菊特有のフラボノイド配糖体
  • アカセチン:抗炎症作用を持つフラボノイド

漢方としての観点

観点薬用菊の漢方での位置づけ
名称「菊花(キクカ)」として古くから使用
性質「涼」で、熱を冷ます効能がある
作用経絡肝臓と腎臓の経絡に作用するとされる
主な効果「清熱明目」(熱を取り除き、目を明るくする)

代表的な漢方処方

処方名効能
菊花茶目の疲れ、充血の緩和
杞菊地黄丸目の疲れ、かすみ目の改善
菊花粥解熱、解毒
二陳湯+菊花頭痛、めまいの緩和

日本と他国での扱いの違い

国/地域食用菊と薬用菊の扱い
日本・食用菊は伝統的な料理文化の一部(特に東北地方)
・お浸し、和え物、天ぷらなどに利用
・菊花酒も親しまれている
・薬用としては、漢方薬の一部として利用
中国・薬用としての利用が主流
・「菊花茶」として日常的に飲用
・杭菊(白菊)、滁菊(黄菊)、貢菊など品種も多様
・中医学で重要な薬材として位置づけ
欧米・食用としての利用は限定的
・観賞用が中心
・薬用としての歴史は東アジアほど長くない
・近年の自然療法への関心から、健康食品やサプリメントとしての利用が増加傾向

食用菊と薬用菊の違い

食用菊と薬用菊は、同じキク科の植物でありながら、その用途や特性、栽培方法などにおいて異なる特徴を持っている

基本的な違い

特性食用菊薬用菊
主な用途花弁や葉を食材として利用薬効成分を抽出する目的で栽培
重視する点味や見た目を重視して品種改良有効成分の含有量を重視
利用方法料理の彩りや風味付けに使用漢方薬や健康食品の原料として使用

主な成分と効能

区分食用菊薬用菊
主な成分・ビタミンC、E、B群
・カロテン
・ミネラル(カリウム、カルシウムなど)
・食物繊維
・香り成分(テルペン類)
・フラボノイド類(ルテオリン、アピゲニン、クリサンテミンなど)
・精油成分(カンファー、ボルネオールなど)
・クロロゲン酸
・苦味成分(セスキテルペン類)
・トリテルペノイド
主な効能・食材としての栄養価
・風味や彩りの付加
・解熱作用
・解毒作用
・抗炎症作用
・肝臓保護作用
・目の充血や炎症の緩和

栽培と収穫の違い

項目食用菊薬用菊
重視する点味と見た目有効成分の含有量
農薬使用厳しい基準あり栽培環境と土壌に注意
収穫時期花弁が柔らかいうちに収穫花が完全に開いた時期に収穫
保存方法鮮度保持が重要乾燥保存が一般的

代表的な品種

食用菊の代表品種

薬用菊の代表品種

  • 「杭菊(キュウカ)」(中国杭州原産の白色菊花、Chrysanthemum morifolium)
  • 「野菊(ヤギク)」(野生種で薬効が高い、Chrysanthemum indicum)
  • 「滁菊」(中国安徽省滁州産の黄色菊花)
  • 「貢菊」(中国安徽省黄山産の高級薬用菊)

参考になる情報

熊本大学薬学部薬用植物園 植物データベース

福井県立大学 菊の一種「コウギク」(杭菊)に血糖値上昇抑制作用があることを発見しました

J-Stage 漢方生薬含有機能性フラボノイド “ ケルセチン ” の血管薬理作用

薬日本堂株式会社 菊花は目の充血と痒み、のどかぜ、頭痛やめまいに